過去問題-解答&解説(旅行業法①)

試験問題&解答/解説

令和4年度(2022年)の国内旅行業務取扱管理者試験の問題と解説を掲載しています。毎年の事ですが問題と選択肢をしっかりと読まないと間違えてしまいそうな微妙な言い回しの引っかけ問題が出題されています。それっぽい答えを選択してしまい貴重な一問を落としてしまうことのないように注意しないといけないですね。旅行業法に関しては過去問題を繰り返し解くこと(丸暗記)が合格への近道です。クイズ形式にしていますので何度でもチャレンジしてください!

問題を解いて【回答する】ボタンを押すと結果が出るよ!

【過去問題】旅行業法①

※全国旅行業協会ホームページより抜粋

【問題】

旅行業法及びこれに基づく命令に関する以下の各設問について、該当する答を、選択肢の中からそれぞれ 1つ選びなさい

Welcome to your 旅行業法1


(1) 次の記述のうち、法第1条(目的)に定められているものはどれか。

ア:旅行業等を営む者の利便の増進

イ:旅行業等を営む者の業務の公正な競争の確保

ウ:旅行に関する需要の拡大

エ:旅行業等を営む者の組織する団体の適正な活動の促進


(2) 報酬を得て、次の行為を事業として行う場合、旅行業の登録を受けなければならないものはどれか。

ア:旅行者から依頼を受けて、スポーツ観戦チケットや観劇などの入場券のみを販売する行為

イ:旅行に関する相談に応ずる行為

ウ:旅行業者から依頼を受けて、旅行者のために査証の取得の手続を代行する行為

エ:観光タクシー会社が自ら所有するタクシーを使い、旅行者のために観光施設の入場と昼食をセッ
トにした日帰り旅行を販売する行為


(3) 旅行業及び旅行業者代理業の登録に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

ア:旅行業者代理業を営もうとする者は、所属旅行業者を第1種旅行業者とする場合であっても、主たる営業所の所在地を管轄する都道府県知事に新規登録申請書を提出しなければならない。

イ:地域限定旅行業を営もうとする者は、主たる営業所の所在地を管轄する都道府県知事に新規登録申請書を提出しなければならない。

ウ:旅行業の登録の有効期間満了の後、引き続き旅行業を営もうとする者は、有効期間の満了の日の2月前までに更新登録申請書を登録行政庁に提出しなければならない。

エ:第2種旅行業の有効期間の更新の登録がなされたときは、その登録の有効期間は、従前の登録の有効期間の満了の日から起算する。


(4) 登録業務範囲に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか(いずれも総合旅行業務取扱管理者を選任しているものとする。)

ア:第1種旅行業者は、すべての旅行業務を取り扱うことができる。

イ:第2種旅行業者は、本邦外の企画旅行(参加する旅行者の募集をすることにより実施するものに限る。)の実施に係る旅行業務を取り扱うことはできない。

ウ:第3種旅行業者は、本邦外のすべての旅行業務を取り扱うことはできない。

エ:地域限定旅行業者は、一の企画旅行ごとに一の自らの営業所の存する市町村(特別区を含む。)の区域、これに隣接する市町村の区域及び観光庁長官の定める区域についてのみ、企画旅行を実施することができる。


(5) 次の記述のうち、旅行業又は旅行業者代理業の登録の拒否事由に該当しないものはどれか。

ア:公職選挙法に違反して禁錮2年の刑に処せられて、その刑の執行が終わった日から5年を経過した者

イ:申請前2年以内に旅行業務に関し不正な行為をした者

ウ:破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者

エ:営業所ごとに法第11条の2の規定による旅行業務取扱管理者を確実に選任すると認められない者


(6) 変更登録等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

ア:第2種旅行業者が法人である場合、その名称について変更があったときは、その日から30日以内にその主たる営業所の所在地を管轄する都道府県知事に登録事項変更届出書を提出しなければならない。

イ:旅行業者代理業者が主たる営業所の所在地について変更(都道府県の区域を異にする所在地の変
更に限る。)があったときは、その日から30日以内に変更後の主たる営業所の所在地を管轄する都道府県知事に登録事項変更届出書を提出しなければならない。

ウ:第3種旅行業者は、第1種旅行業への変更登録の申請をしようとするときは、観光庁長官に変更
登録申請書を提出しなければならない。

エ:旅行業者等は、選任している旅行業務取扱管理者の氏名について変更があったときは、その日か
ら30日以内に登録行政庁に変更登録申請書を提出しなければならない


(7) 営業保証金に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

ア:旅行業者は、毎事業年度終了後において、その供託している営業保証金の額が所定の額に不足することとなるときは、その不足額を毎事業年度終了後において、その終了の日の翌日から100日以内に追加して供託しなければならない。

イ:旅行業者は、営業保証金を供託し、供託所から供託物受入れの記載のある供託書の受領後、直ち
にその事業を開始することができる。

ウ:第2種旅行業の新規登録を受けた者が供託すべき営業保証金の額は、登録の申請時に添付した書
類に記載した旅行業務に関する旅行者との年間取引見込額が400万円未満の場合にあっては、1,100万円である。

エ:営業保証金は、旅行業者の主たる営業所の最寄りの供託所に国債証券、地方債証券その他の国土
交通省令で定める有価証券をもって、供託することができる。


(8) 旅行業務取扱管理者の選任に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

ア:第3種旅行業者の複数の営業所が近接し(営業所間の距離の合計が40キロメートル以下)、併せて当該複数の営業所の前事業年度における旅行業務に関する旅行者との取引の額の合計額が1億円以下の場合、旅行業務取扱管理者は、その複数の営業所を通じて1人で足りる。

イ:旅行業者等は、旅行業務取扱管理者について、5年ごとに旅行業務に関する法令、旅程管理その他
の旅行業務取扱管理者の職務に関し必要な知識及び能力の向上を図るため、旅行業協会又は旅程管理研修業務を行う登録研修機関(旅行業協会を除く。)が実施する研修を受けさせなければならない。

ウ:旅行業者は、拠点区域内のもののみについて旅行業務を取り扱う営業所にあっては、地域限定旅
行業務取扱管理者試験(当該営業所の所在する地域に係るものに限る。)に合格した者を当該営業所の旅行業務取扱管理者として選任することができる。

エ:旅行業者等は、旅行業務に従事した経験が5年未満である者を、旅行業務取扱管理者として選任
することはできない。

解説

次の記述のうち、法第1条(目的)に定められているものはどれか

ア:旅行業等を営む者の利便の増進


イ:旅行業等を営む者の業務の公正な競争の確保


ウ:旅行に関する需要の拡大


エ:旅行業等を営む者の組織する団体の適正な活動の促進

正解は【エ】です

旅行業法第1条の「目的」は6つの内容で構成されています。

・旅行業等を営む者について登録制度を実施
・旅行業等を営む者の業務の適正な運営を確保
・旅行業等を営む者の組織する団体の適正な活動を促進
・旅行業務に関する取引の公正の維持
旅行の安全の確保
旅行者の利便の増進

目的を丸暗記していればすぐに解ける問題ですが、中にはひっかかりそうな選択肢もあります。

選択肢『ア』は、利便の増進は合っていますが旅行業等を営む者というワードが間違えています。正しくは旅行者の利便の増進です

選択肢『イ』は、業務の公正な競争の確保というワードが間違えています。正しくは業務の適正な運営を確保です

選択肢『ウ』は、旅行業法の目的には定められておりません

ということで答えは【エ】です

旅行業の目的というのは過去問題でもよく出題されているのでしっかりと覚えましょう!

報酬を得て、次の行為を事業として行う場合、旅行業の登録を受けなければならないものはどれか

ア:旅行者から依頼を受けて、スポーツ観戦チケットや観劇などの入場券のみを販売する行為

イ:旅行に関する相談に応ずる行為

ウ:旅行業者から依頼を受けて、旅行者のために査証の取得の手続を代行する行為

エ:観光タクシー会社が自ら所有するタクシーを使い、旅行者のために観光施設の入場と昼食をセットにした日帰り旅行を販売する行為

正解は【イ】です

旅行業とは何なのか、という『定義』については主に3つです(旅行業法第2、3条)

報酬を得ていること(※1)

事業として継続して行なっていること(※2)

一定の行為を行なっていること(※3)

これら3つの行為が全てそろって旅行業となります

※1 無報酬は旅行業としての行為にはあたりません

※2 事業とは旅行の手配を行なう旨の宣伝・広告を行なっている場合や店を構えて看板を掲げている場合など反復継続の意思を持っていることをいいます

※3 一定の行為とは旅行者と旅行サービス提供者(運送・宿泊施設等)との仲介役となり旅行者がサービスを確実に受けられるように手配する行為をいいます

一定の行為(具体例)

  • 募集型企画旅行・受注型企画旅行の実施
  • 手配旅行の実施
  • 有償で旅行相談に応じること
  • 各旅行に付随して運送・宿泊以外のサービスを提供すること

企画旅行とは

旅行業者が旅行の目的地および日程、運送や宿泊などの旅行サービスの内容と旅行代金を定めた旅行計画を作成・提案し実施すること

募集型・・・パンフレットなどで旅行者を募集し実施するもの

受注型・・・旅行者からの依頼によるもの

※募集型・受注型ともに旅程を管理する義務を負います

手配旅行とは

旅行業者が旅行者の依頼により、旅行者のために運送や宿泊等旅行サービスの提供を受けることができるように手配を引き受ける委任契約のこと

※手配をするのみで旅程を管理する責任はありません

旅行業に該当しないもの(一例)

  • もっぱら運送機関乗車券類のみを代理販売する場合
  • 運送・宿泊以外のサービスのみ販売する場合(観戦チケットなど)
  • 運送・宿泊施設が自らの施設自ら案内する場合(直接サービスの提供)
  • 旅行会社の依頼を受けて旅行の現地手配を行なう手配代行者(旅行サービス手配業)

以上のことから

選択肢『ア』は、スポーツ観戦チケットや観劇などの入場券のみを販売しているので旅行業の登録は不要です

選択肢『イ』は、報酬を得て旅行相談に応じているので旅行業に該当します

選択肢『ウ』は、旅行業者から依頼を受けているので旅行業ではなく旅行サービス手配業です

選択肢『エ』は、自ら所有するタクシーを使い観光施設の入場と昼食のみを利用しているので旅行業には当たりません

ということで答えは【イ】です

旅行業に該当する場合と旅行業には該当しない場合のポイントをしっかりと押さえましょう。

旅行業及び旅行業者代理業の登録に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか

ア:旅行業者代理業を営もうとする者は、所属旅行業者を第1種旅行業者とする場合であっても、主たる営業所の所在地を管轄する都道府県知事に新規登録申請書を提出しなければならない。


イ:地域限定旅行業を営もうとする者は、主たる営業所の所在地を管轄する都道府県知事に新規登録申請書を提出しなければならない。

ウ:旅行業の登録の有効期間満了の後、引き続き旅行業を営もうとする者は、有効期間の満了の日の2月前までに更新登録申請書を登録行政庁に提出しなければならない。


エ:第2種旅行業の有効期間の更新の登録がなされたときは、その登録の有効期間は、従前の登録の有効期間の満了の日から起算する

正解は【エ】です

旅行業法には登録の種別として5つの種別が定められています。旅行業登録に関する書類の申請・届出先は登録種別により異なります

登録種別申請書提出先
第1種旅行業観光庁長官
第2種旅行業主たる営業所の所在地を管轄する都道府県知事
第3種旅行業
地域限定旅行業
旅行業者代理業

旅行業登録の有効期間については、新規登録(または更新登録)の日から起算して5年です。更新後の新しい登録の有効期間は、前の登録の有効期間満了日の翌日から起算するということになります。有効期間満了後も引き続き旅行業を営もうとする場合は有効期間の2ヶ月前までに更新登録の申請が必要です。

選択肢『ア』は、旅行業者代理業を営もうとしているので、主たる営業所の所在地を管轄する都道府県知事に新規登録申請書を提出します

選択肢『イ』は、地域限定旅行業を営もうとしているので、主たる営業所の所在地を管轄する都道府県知事に新規登録申請書を提出します

選択肢『ウ』は、有効期間の満了の2月前までに申請をしなければならないので合っています

選択肢『エ』は、“有効期間の満了の日から起算する”と書いてあるので間違いです。正しくは“有効期間の満了の日の翌日から起算する”

ということで答えは【エ】です

登録業務範囲に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか

ア:第1種旅行業者は、すべての旅行業務を取り扱うことができる。

イ:第2種旅行業者は、本邦外の企画旅行(参加する旅行者の募集をすることにより実施するものに限る)の実施に係る旅行業務を取り扱うことはできない。


ウ:第3種旅行業者は、本邦外のすべての旅行業務を取り扱うことはできない。

エ:地域限定旅行業者は、一の企画旅行ごとに一の自らの営業所の存する市町村(特別区を含む)の区域、これに隣接する市町村の区域及び観光庁長官の定める区域についてのみ、企画旅行を実施することができる

正解は【ウ】です

旅行業の登録種別による業務区分を確認しましょう

業務範囲
企画旅行手配旅行
募集型受注型
海外国内
第1種旅行業
第2種旅行業×
第3種旅行業×△(※1)
地域限定旅行業×△(※2)△(※2)△(※2)
※1 自らの営業所の存する市町村(特別区を含む)の区域、これに隣接する市町村の区域及び観光庁長官の定める区域のみ募集型企画旅行の設定が可
※2 地域限定旅行業の業務範囲は、自らの営業所の存する市町村(特別区を含む)の区域、これに隣接する市町村の区域及び観光庁長官の定める区域のみ

選択肢『ア』は、第1種旅行業なので記載の通り全ての旅行業務を取り扱うことができます

選択肢『イ』は、本邦外とはいわゆる海外のことをいい、募集型の企画旅行を取り扱うことはできないので記載の通りです

選択肢『ウ』は、第3種旅行業は全ての本邦外の旅行を取り扱うことができないのではなく、募集型の海外旅行のみ取り扱うことができないので受注型の企画旅行や手配旅行は取り扱うことが可能です

選択肢『エ』は、記載の通りです

ということで答えは【ウ】です

次の記述のうち、旅行業又は旅行業者代理業の登録の拒否事由に該当しないものはどれか

ア:公職選挙法に違反して禁錮2年の刑に処せられて、その刑の執行が終わった日から5年を経過した者

イ:申請前5年以内に旅行業務に関し不正な行為をした者

ウ:破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者

エ:営業所ごとに法第11条の2の規定による旅行業務取扱管理者を確実に選任すると認められない者

正解は【ア】です

登録の拒否事由については以下をしっかりと覚えましょう(重要ワード抜粋)

①旅行業若しくは旅行業者代理業の登録を取り消され又は旅行サービス手配業の登録を取り消され、その取消しの日から5年を経過していない者
②禁錮以上の刑に処せられ、又はこの法律の規定に違反して罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から5年を経過していない者
暴力団員等
申請前5年以内に旅行業務又は旅行サービス手配業務に関し不正な行為をした者
⑤営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人が登録拒否事由に該当する場合
⑥成年被後見人若しくは被保佐人又は破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
⑦法人であって、その役員のうちに登録の拒否事由に該当する場合
⑧暴力団員等がその事業活動を支配する者
営業所ごとに旅行業務取扱管理者を確実に選任すると認められない者
⑩旅行業を営もうとする者であって、当該事業を遂行するために必要と認められる財産的基礎を有しないもの
旅行業者代理業を営もうとする者であって、その代理する旅行業を営む者が2つ以上であるもの

選択肢『ア』は、①ですが、『5年を経過していないもの』が拒否事由にあたりますので、『5年を経過したもの』は該当しません

選択肢『イ』は、④に該当します

選択肢『ウ』は、⑥に該当します

選択肢『エ』は、⑨に該当します

ということで答えは【ア】です

変更登録等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか

ア:第2種旅行業者が法人である場合、その名称について変更があったときは、その日から30日以内にその主たる営業所の所在地を管轄する都道府県知事に登録事項変更届出書を提出しなければならない。


イ:旅行業者代理業者が主たる営業所の所在地について変更(都道府県の区域を異にする所在地の変更に限る)があったときは、その日から30日以内に変更後の主たる営業所の所在地を管轄する都道府県知事に登録事項変更届出書を提出しなければならない。

ウ:第3種旅行業者は、第1種旅行業への変更登録の申請をしようとするときは、観光庁長官に変更登録申請書を提出しなければならない。


エ:旅行業者等は、選任している旅行業務取扱管理者の氏名について変更があったときは、その日から30日以内に登録行政庁に変更登録申請書を提出しなければならない。

正解は【エ】です

旅行業者登録簿又は旅行業者代理業者登録簿に記載された一定の項目に変更が生じた場合は、変更があった日から30日以内に登録事項の変更の届出を行わなければなりません。変更の届け出が必要な項目については、以下の通りです

変更事項旅行業者代理業者
氏名又は商号若しくは名称
住所
法人の代表者の氏名
主たる営業所の名称及び所在地
その他の営業所の名称及び所在地
旅行業者代理業者の氏名又は名称×
旅行業者代理業者の住所×
旅行業者代理業者の営業所の名称及び所在地×

選択肢『ア』は、記載の通りです

選択肢『イ』は、記載の通りです

選択肢『ウ』は、第1種への変更なので観光庁長官に変更登録申請書を提出します

選択肢『エ』は、“選任している旅行業務取扱管理者の氏名について変更”とありますが、そもそも変更の届け出が必要な項目ではありません(旅行業法では届出義務が定められていませんが、一部の都道府県ではこれとは別の独自規定で届出条項が定められている場合もあります)

ということで答えは【エ】です

営業保証金に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか

ア:旅行業者は、毎事業年度終了後において、その供託している営業保証金の額が所定の額に不足することとなるときは、その不足額を毎事業年度終了後において、その終了の日の翌日から100日以内に追加して供託しなければならない。


イ:旅行業者は、営業保証金を供託し、供託所から供託物受入れの記載のある供託書の受領後、直ちにその事業を開始することができる。

ウ:第2種旅行業の新規登録を受けた者が供託すべき営業保証金の額は、登録の申請時に添付した書類に記載した旅行業務に関する旅行者との年間取引見込額が400万円未満の場合にあっては、1,100万円である。


エ:営業保証金は、旅行業者の主たる営業所の最寄りの供託所に国債証券、地方債証券その他の国土交通省令で定める有価証券をもって、供託することができる。

正解は【イ】です

旅行業の特徴の1つに営業保証金制度というものがあります。これは旅行会社から一定の金額を国に提供させることで万が一旅行会社が倒産したときなど、旅行者に損害が出た場合にはその旅行会社が国に提供している営業保証金の中から旅行者に対して補償をするという制度です

【営業保証金の金額】

旅行業の登録種別営業保証金(最低金額)
第1種旅行業7,000万円
第2種旅行業1,100万円
第3種旅行業300万円
地域限定旅行業15万円
旅行業者代理業旅行サービス手配業については営業保証金は不要

営業保証金は、常に一定の金額ではありません。旅行会社の義務として毎年の事業年度が終わってから100日以内に取引額の報告をすることになっています。
これは旅行会社がその1年間で旅行者と旅行業務に関する取引額がどれくらいあったのかを登録行政庁に報告する制度で、この取引額の報告を基準にして納めるべき営業保証金の金額が毎年変わります。取引額の報告をした結果、現在供託している営業保証金よりも多い金額の供託が必要になった場合には、不足している分を追加で供託する必要があります(旅行業法第8条第1項)

営業保証金は旅行会社が供託所に供託します。供託所ならどこでもいい訳ではなく旅行会社の主たる営業所の所在地に最も近い供託所にしなければなりません。

供託の方法

①金銭(現預金)
②国債証券
③地方債証券
④特別の法律により法人が発行する債権
⑤優先弁済を受ける権利を保証されている社債券

営業保証金を供託した後に供託済であることの届出を登録行政庁へ行わない限り営業を始めることはできません(旅行業法第7条第3項)そして新規登録の場合は、営業保証金を供託したことの届出は登録通知書を受け取ってから14日以内に行わなければいけません。

営業保証金を供託後すぐに営業を開始したいところですが届出書が登録行政庁に到達するまでは営業開始できない点に注意が必要です。

選択肢『ア』は、100日以内に取引額の報告をすることにより営業保証金の額が不足した場合は追加で供託をしなければならないという決まりです

選択肢『イ』は、営業保証金の供託後ただちにその事業を開始できると記載があるので誤りです。正しくは営業保証金の供託後に供託済みの届け出を登録行政庁へ行わなければいけません

選択肢『ウ』は、記載の通りです

選択肢『エ』は、記載の通りです

ということで答えは【イ】です

旅行業務取扱管理者の選任に関する次の記述のうち、正しいものはどれか

ア:第3種旅行業者の複数の営業所が近接し(営業所間の距離の合計が40キロメートル以下)、併せて当該複数の営業所の前事業年度における旅行業務に関する旅行者との取引の額の合計額が1億円以下の場合、旅行業務取扱管理者は、その複数の営業所を通じて1人で足りる。

イ:旅行業者等は、旅行業務取扱管理者について、5年ごとに旅行業務に関する法令、旅程管理その他の旅行業務取扱管理者の職務に関し必要な知識及び能力の向上を図るため、旅行業協会又は旅程管理研修業務を行う登録研修機関(旅行業協会を除く。)が実施する研修を受けさせなければならない。


ウ:旅行業者は、拠点区域内のもののみについて旅行業務を取り扱う営業所にあっては、地域限定旅行業務取扱管理者試験(当該営業所の所在する地域に係るものに限る。)に合格した者を当該営業所の旅行業務取扱管理者として選任することができる。

エ:旅行業者等は、旅行業務に従事した経験が5年未満である者を、旅行業務取扱管理者として選任することはできない。

正解は【ウ】です

旅行業務取扱管理者は、選任された営業所において管理監督業務を行うことから、複数の営業所での兼任は禁止されています。
しかし、一定の条件に当てはまった場合のみ、複数営業所でも兼任することができます。
具体的には、
①営業所間の距離の合計が40キロメートル以下
②地域限定旅行業の登録を受けている
③複数営業所の前事業年度の旅行業務に関する旅行者との取引額の合計額が1億円以下
の条件に当てはまる場合には、同一人物が複数営業所の旅行業務取扱管理者を兼任することができます。

旅行業務取扱管理者定期研修(以下「定期研修」)は、改正旅行業法(平成30年1月4日施行)第11条の2第7項に基づき実施されるもので、旅行業者及び旅行業者代理業者(以下「旅行業者等」)は、選任された旅行業務取扱管理者(以下「選任管理者」)について、その職務に関し必要な知識及び能力の向上を図るため、旅行業協会(ANTA・JATA)が実施する研修を5年ごとに受けさせなければならないと規定され、受講修了していない場合は、更新登録の拒否事由に該当します。
 また、新規登録の旅行業者等の選任管理者も、定期研修の受講対象となります。

選択肢『ア』は、“第3種旅行業者”となっていますので複数の営業所での兼任は禁止です

選択肢『イ』は、旅行業協会(JATA・ANTA)が実施する研修に限るので、旅程管理研修業務を行なう登録機関は指定研修機関に含まれません

選択肢『ウ』は、拠点区域内のもののみについて旅行業務を取り扱う営業所にあっては、地域限定旅行業務取扱管理者を選任するこができます

選択肢『エ』は、旅行業務に従事した経験が5年未満であっても“旅行業務取扱管理者定期研修”を受講することで選任することができます

ということで答えは【ウ】です

まとめ

旅行業法問題はひっかけパターンが多いです。なんとなく覚えていた単語が選択肢に出ていることで間違った答えを選択してしまうこともあるので、全文をしっかりと暗記することが必要です。まずは過去問題を解く→間違えた箇所はなぜ間違えたのかを調べる→再度過去問にチャレンジ→全問正解するまで繰り返し挑戦する。参考書や問題集を沢山買って色々なパターンを勉強するのも一つですが、私のアドバイスとしては旅行業法と旅行業約款に関しては一つの問題集試験の過去問題を何度も何度も満点になるまで繰り返すことです。繰り返し問題を解き理解することでしっかりと頭の中にインプットされ自信にもつながります。試験直前になって沢山の問題集を購入したけど全然頭に入らなかったという経験談をよく耳にします。原因としては問題の言い回しがそれぞれの問題集によって違うことが混乱につながっているのではないかなと思います。最初に購入した参考書や問題集を浮気せず1年間使い続けて、問題を見ればすぐに答えが出てくるぐらいに繰り返し勉強するのが合格への近道です!ぜひ継続して頑張ってください☆

この記事を書いた人

TAKASHI KOCHI
TAKASHI KOCHI
・総合旅行業務取扱管理者
・総合旅程管理主任者
・トラベルコーディネーター
・エリアスペシャリスト
(ハワイ・オーストラリア)
初めての海外旅行はホノルルマラソン(ヘロヘロで完走)『旅の価値は無限大』を合言葉にこれからの新しい旅行スタイルを提案します